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第三回 株式会社インスパイア 成毛眞(3/3P)

駅のプラットフォームでは、絶対に一番前に並ばない

松下 それはすごい考え方ですよね。自らの力で道を切り開くというか。そこまで自分をコントロールして、何物にも頼らない姿勢には感服しました。

「人間って、持って生まれた運の量がきっと決まっているんです」
「人間って、運の量がきっと決まっているんです」

成毛 でも、自分の意志だけじゃどうにもならないこともあるでしょ。要するに"運"ですよ。残念ながら、僕は運を引き込むタイプじゃない。人間って、持って生まれた運の量がきっと決まっているんです。質じゃないですよ、あくまで量。それをちょろちょろ使うから、運を使い果たした年寄りは、病気になって死ぬ。僕はそんなイメージを持っているんです。

運はある時、大量に消費しちゃうことがある。一番消費するのは命に関わること。だから、健康診断を欠かさないのは必要なんです。何か調子が悪いんで医者に行ったら、ガンが見つかりました。これじゃまずいわけ。それですごい運を使っちゃうわけだから。

あと、僕は駅のプラットフォームで列に並んでも、絶対に一番前には立ちません。もし後ろから押されても、僕は運がいいから横に転げたりして中に落ちないと思うんです。でもこれは命にかかわることだから、運を大量に使うんですよ。すべての運の半分とか。こんなところで運を使っていたら、ビジネスに使えないじゃないですか。

だから、ギャンブルも一切やりません。するとしても、必ずゼロサムになるようにしている。そんな細かな運を使うなんてもったいない。必要な時に、運って自動的に使えるものもあるんですよ。本当に必要なときこそ、かなり大きな運をバンと使うべき。運の悪い人は、余計なものに運を使っているんでしょうね。

松下 成毛さんがビジネスにおいて、最大限に運を使ったのはいつだったと思いますか?

成毛 転職ですね。アスキーに入ったら、アスキーマイクロソフトに出向になったわけですから、それが運そのもの。マイクロって何の会社だよ? なんて言っていたわけですから。これは100%むき出しの運。それ以外の何物でもありません。当時、マイクロソフトに入っていれば、よほどバカじゃない限りは偉くなれましたからね。

成功するかしないかは、場所の問題だけだったりもするんですよ。私は1980年代~90年代にかけて、ソフトウェア産業という場所にたまたまいた。これは努力ではない。単なる運です。だから、努力はまったく報いられることがないこともある。これは真実だと思う。

ただ、転職にしろ投資にしろ、場所やカテゴリーを決めるのは知識の問題もあります。どの産業がいま儲かるのか、いまなら農業やバイオに投資すればいいらしい、とか。その知識をつけるには、本を読むしかない。自分への投資は本を読むことです。それに尽きますね。雑多な本を大量に読むこと。それ以上の投資はありませんよ。

松下 なるほど。知識、運、そして演じること。成毛さんのお話は手厳しいものもありましたが、エグゼクティブがキャリアプラン、ひいてはライフプランを見直すためのヒントをたくさんいただいた気がします。本日はありがとうございました。